「スキルアップのために転職」 「同じ会社にいると市場価値が下がる」 「フリーランスになる」
私が観測していたころは、こんな言葉ばかりで溢れかえっていたような気がします。 まるで、長く勤めることが「停滞」や「怠慢」であるかのように。
俺は思うんだけど、 「ひとつの場所に長く居座る」ことこそ、実は最も楽に、効率よく稼ぐことができるんじゃないかと最近思います。
せっかくなんで「古株社員だけが得られる特権」について、きれいごとなしで語りたい。
1. リソースを使わずに仕事が回る「省エネ無双」
会社に入って最初の3年は、毎日が「勉強」だ。
業務フローを覚え、人間関係を把握し、システムの仕様を理解する。脳みそは常にフル回転で、正直しんどい。
だが、10年選手になると世界が変わる。
仕事が**「思考」から「反射」**に変わるのだ。
トラブルが「既視感」に変わる瞬間
例えばエンジニアとしてシステム障害に対応するとき。
新人が血眼になってログを解析し、「原因がわかりません!」とパニックになっている横で、俺はハイボールを飲みながらこう思う。
「ああ、この挙動、7年前にもあったな。あのサーバーの容量不足だろ」
これだけだ。
実際に調べると、9割方当たっている。
これは才能でもスキルでもない。ただ**「長くその場にいて、過去の事例(データ)を体感として持っている」**というだけのこと。
マニュアルを開く必要もない。誰に連絡すればいいかも0秒でわかる。
周りがヒーヒー言っている仕事を、鼻くそほじりながら、その手でキーボードを軽快に叩いて、誰よりも早く片付けられる。
この「省エネ無双状態」は、長くいた人間にしか味わえない果実だ。
2. 「信頼」という名の通貨で、自由を買える
長く勤めることの最大のメリットは、給料アップなんかよりも**「信頼残高」**が貯まることだ。
「あいつなら大丈夫」が最強の免罪符
新人がミスをすれば「たるんでる」と怒られるが、10年選手が同じミスをしても「珍しいな、疲れてるんじゃないか?」と心配される。
不公平だと思うかもしれないが、 10年かけて積み上げてきた「普段はちゃんとやるヤツ」という実績が、盾になってくれる。
有給休暇だってそうだ。
新人の頃は周りの顔色を伺って申請していたが、古株になれば「ちょっくら休みます」の一言で済む。理由なんて聞かれない。
「あいつが休むなら、休んでも大丈夫な時なんだな」と、周りが認識してくれる。
これは社内政治力ではない。
「時間」を投資して得た、会社内での「既得権益」だ。
これを捨ててまで、新しい環境でゼロから信頼を積み上げるのは、正直かなりコスパが悪い。
3. 外に出て気づく「コンテキスト(文脈)」のありがたさ
新入社員やフリーランスは、毎回会社が変わるたびに「はじめまして」からスタートする。
自分のスキルを証明し、相手の癖を読み取り、信頼を得るために神経をすり減らす。
それに比べて、10年いた会社はどうだ。
自分の取扱説明書はすでに全員に配布済み。
「俺」というキャラクターが浸透しているから、得意な仕事が勝手に回ってくるし、苦手な仕事はスルーされる。
「阿吽の呼吸」だけで仕事が成立する環境は、実はものすごく恵まれていたのだと思う。
迷っているなら「主(ぬし)」になれ
サウナでは主は嫌われるけど、会社では主になったほうが楽だ。もし今「なんとなく周りが転職しているから」という理由で焦っているなら、一度立ち止まってもいいかもしれない。
今の会社で嫌なことがあっても、それを乗り越えて「お局」や「長老」、「老害」「キチガイ」と呼ばれるポジションまで生き残れば、そこには**「自分仕様にカスタマイズされた快適な職場」**が待っている可能性がある。
「石の上にも3年」と言うが、3年じゃまだ座り心地は硬い。
10年座り続けて、石を自分の尻の形に窪ませてしまう。
それくらい図太く居座るのも、賢い大人の働き方だ。